アライメントの基本要素

トー
前輪の左右、後輪の左右の進行方向を決めるキャスター角が+になっている場合、走行中フロントタイヤは外側に開く力が発生しますので、一般的にあらかじめIN方向にセットし、走行時に直進となるようにします。

トーイン(一般的な基準方向)
車の進行方向に対してタイヤの先が内側に向く
●調整された適正トーインにより走行安定性とタイヤのロングライフが得られます 。

トーアウト
車の進行方向に対してタイヤの先が外側に向く
●ハンドリングに落ち着きがなく、外乱に影響され易くなる。
●ハンドル修正が多くなり、タイヤの偏摩耗を招く。
スラスト角
前輪のトー角と後輪のトー角が交差する角度。スラスト角0°が基本。
※車の進行方向を決めるのは後輪のスラスト角です。

スラスト角0°(一般的な基準方向)
前後輪共、中心に向かっているので
直進安定性を得られる。

前・後輪で
スラスト角にズレが発生

この場合、車は左に進もうとしてしまう。
ドライバーは常にステアリング修正が必要。
キャスター
前輪(旋回輪)の傾き。
直進性とステアリング操作時の復元力と操舵感を決めています。

ホイール中心点を通る垂直線とキングピン軸との角度
左右差が無いのが基本であり、差がある場合、角度が少ない方に車は流れようとします。
キャスター角の基本は、キングピン軸が後方に傾く+キャスターとなっています。
キャンバー
接地面におけるタイヤの傾き。
タイヤの接地面の中心からの垂直線と、タイヤの中心線との角度がキャンバー角です。
タイヤの垂直線より、タイヤの中心線が内側にある場合はネガティブキャンバーと言い、逆に外側にある場合はポジティブキャンバーと言います。

ネガティブキャンバー
タイヤの接地面積を司り、コーナリング性能を向上させる事も出来ます。しかし、過度にキャンバー角を付けると接地面が減少し、タイヤの極端な片減りが発生してしまいます。
又、左右差が大きい場合接地面積が多い方に流れが発生します。

ポジティブキャンバー
キャンバー角はホイールの太さ、OFFセットによっても影響を受けますので、仕様に合わせたセットUPも必要になってきます。
更に、タイヤの片減り、ステアリング操作時の左右での違和感等に影響を及ぼす要因として、SAI角、インクルードデッドアングルが重要です。

SAI角(キングピン傾斜角)
車の前からロアボールジョイントとサスペンションサポート中心(ストラット式ではショックアブソーバーの中心、Wウィッシュボーン式ではアッパーリンクとサードリンクの取り付け点)線と、タイヤの接地面からの垂直線との角度をキングピン角=SAI角と言います。
●ハンドルを切った後の復元力に影響が出ます。
●走行中に受けるタイヤの衝撃をステアリングに対して和らげる事が出来ます。

インクルードデッドアングル
SAI角とキャンバー角を合わせた角度がインクルードデッドアングルと言います。左右同じにならなくてはいけません。角度が左右で違うと、走行中の流れやタイヤの片減りが発生してしまいます。
特に気をつけなくてはならないのは、車高調整式のピロアッパーマウント装着車で、タイヤのキャンバー角を変える場合にアブソーバで個別に合わせてしまうと左右差がすぐに出てしまい、停止状態でのキャンバー角が合っているだけで、走行時は重心位置のズレにより安定性は得られなくなります。